『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観ました(ネタバレあり)
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
あらすじ:実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォードの破天荒な半生を描いた作品。
20代で証券会社を設立し、富裕層をターゲットに巧みな話術で金を搾り取り、年収49億円まで上り詰める。
ドラッグとSEX三昧の日々を送りながら、金を儲けることに微塵の疑いをもたずに邁進していく。
そんななか、FBIにマネーロンダリングの疑惑をもたれ、有罪となり、転落していく。
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以下、わたくしの感想
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ディカプリオさんは好きな俳優なのですが、ハスキーな声と怪しげな宗教の教祖様のような、
饒舌かつ人心をつかむ演説がぴったりマッチし、異常だけれどもどこか憎めないジョーダン・ベルフォードを
見事に演じていたと思います。
まさに、ベルフォードはスーツを着てクレバーな金の亡者といえると感じました。
ベルフォードは株式販売手数料で儲けていきます。
株を買った客が損をしようがおかまいなし!
どんどん株を売りつけていきます。
しかし、儲けが増えるにつれ、ドラッグとセックスをやめられず、また、金もうけもやめられず、
完全な中毒症状のようにみうけられました。
徐々にベルフォードの顔がやつれて、不安げな目つきになっていく様子が、
繊細に演じられていました。
一方、一緒に会社を設立した初期のメンバーを、最後まで裏切らずに幹部として登用していたのは、
人情味があるな、、、と思いました。
ウォールストリートの大企業は、すぐにクビ!とか、人間をロボットのように交換するイメージがあったので、
ベルフォードの人心を掌握する人間的な・・・いや、悪魔的な魅力なのだと思います。
「憎めないワル」の恐ろしさです。
大企業に成長した会社の社員も、みんな金の亡者です。
みんなベルフォードが大好きで尊敬している。
理由は、「お金をもうける方法を教えてくれたから!」ということです。
お金は生活をしていくうえでとても大切なものではあるけれど、
手段を選ばずとめどなく儲ければよいというものではないはずです。
お金をたくさん手にする快感は、
自分を王様だと錯覚させ、
もっともっとお金がほしくなりドラッグのように心がむしばまれていくようだと思いました。
最後にFBIにしょっぴかれます。
ベルフォードを逮捕した後、
FBI捜査官がふと見せた、愁いのある悲しげな表情が印象的でした。
たしかにベルフォードは違法取引をやっていたのですが、
FBI捜査官にとってベルフォードはどこか憎めないあいてだったのではないでしょうか。
逮捕に至るまでの間、
ベルフォードは捜査官を買収しようとしたり、
友人になろうとしたり、
憎まれ口をたたいたり、
いろいろなことをやりました。
そんな元気なベルフォードが、逮捕にあたり力を落としていく様子をみて、
複雑な気持ちを抱いたのでしょうか。
この映画を通じて感じたのは、
お金は魔物だということです。
甘い汁をすってしまうと、稼ぎ続けたくなってしまう。
一方、
お金がいくらあっても、
きれいな家にすんでも、
たくさんセックスをしても、
昼間からドラッグやっても、
高価な服を身に着けても、
幸せに必ずなれるとは限らないのだということです。
人間は「足るを知る」人がもっとも幸福なのだと思いました。
人によって「足る」基準はそれぞれですがね。。。
とにかく、観てよかった映画でした。